(三菱航空機開発の国産旅客機MRJ)
1月27日の日経新聞で「MRJキャンセル 米イースタン40機」という記事が出ていましたね。
MRJとは、日本の三菱航空機が開発していた国産の小型旅客機です。
このMRJは本来なら2013年には量産機を航空会社に納入する予定でしたが、開発上の不具合により、5度の納入延期となり、結果2020年半ばにまで納入がずれ込む事となりました。
つまり約7年の納期遅延で、しかもそれもまだ確定ではなく、今後さらに遅れる可能性もわずかながらある、ということです。
航空機は基本的に開発途中から注文を受けます。
MRJはこれまでに約460機程度の受注を受けていました。
これまで心配されていたのが、さすがにそれだけ待たされたら市場環境も変化するだろうから受注のキャンセルや最悪訴訟問題にまで発展するのではないかということです。
そして、とうとう今回その心配が現実化してきたわけです。
MRJの採算ラインは350機程度と言われてきましたが、おそらく開発遅延などでコストが増大しているでしょうからもっと数を売らなければならないと思います。
そこでの今回の40機の受注キャンセルはかなりイタイですね。
今回の受注キャンセルは、相手方のイースタン航空の経営不振が直接的な原因ですが、真因はやはりそうした環境の変化に開発がついていけなかった事にあるでしょう。
航空機の開発は時間が掛かるのは分かっているので、需要予測も10年先を見越してやらなければなりません。
MRJもその予測に基づいて当初計画を立てていたのでしょうが、さすがにここまで遅れると、もうどうなるのか分かりません。
今後、MRJの競合となるブラジルのエンブラエル社も猛攻勢を仕掛けてきます。
しかも、三菱と協力関係にあるはずの米ボーイング社かこのエンブラエル社に接近しているとの情報もあります。
このMRJのプロジェクトには多額の国費も投入されており、国内の様々な産業分野にも影響を及ぼします。
苦難続きのMRJですが、ここを乗り越えれば、国内に盤石の産業構造が出来上がります。
今後のMRJの動向に目が離せません。