こんにちは。
私が設計の研修講師として入らせてもらっているとある企業さんで、
クレコを保管するケースを作ってほしいとの依頼がありました。
クレコっていうのは、航空機の製造で使われる、部品同士を仮組付けしておくための器具です。
(これがクレコ、ペンチみたいなので握ると先が閉じたり開いたりする)
(こんな感じで、本来リベットなどで留めるところに、クレコを差し込んで仮留めする)
で、まずは簡単に3DCADでモデリング。
(板に穴開けて、そこにクレコを差し込む)
大きさとかをこんな感じで、事前に検討しました。
3Dプリンターの最大出力サイズを超えていたので、2分割しました。
また、ちゃんとクレコが差せるか確認するために、一部分だけを3Dプリンターで出力しました。
(一部分を3Dプリンターで出力、使用感の確認)
この時、分かったのが、余りにも出力時間が長く、材料コストもかなりかかるという事です。
写真の分だけを出力するのに6時間くらいかかってます。
トータルで出力すると、10時間は軽く超えてきます。
また、材料も恐らく1,000円近くになってしまいそう・・・。
という事で、設計変更をしていきました。
(円筒形にしてみた)
最終的には爪で挟むような感じになりました。
(3DCADのモデリング最終形)
これで、3Dプリンターで出力してみました。
(最終形の3Dプリント出力試作品)
出力時間は、トータルで6時間くらい。
材料費はおおよそで300円くらい。
まぁ、現実的な感じになりました。
ただ、ここで問題が。
強度的に弱く、現場作業で激しく使われると、爪が折れる。
結局、木の板に穴をあけて作った方が早いね。
という事で本作業は終了してしまいました(涙)
ただ、今回いろいろと試させてもらって良い経験が積めました。
私は、もともとデザインやらはやっていましたけど、自分であんまりモノを作った経験がなかったものですから。
それに、やはりこうしたデジタルツールを使うことで、早く結論までたどり着けるということも分かりました。
造ってはやり直してが、簡単に早くできますから。
しかし、あまりこうしたツールに頼りすぎると、考える力が低下するような気もしました。
何も考えずにやれてしまいますから。
中国的な発想ですね。
しっかり検討するのか、やりながらどんどん進めていくのか、どちらがいいとは言えませんが、
やはりバランスよくしていくのが良いのでしょうね。
どちらにしろ経験が浅いうちは、トライ&エラーの繰り返ししかないですね。